OLYMPUS PEN E-P5

PEN E-P5+ FISHEYEボディキャップレンズ BCL-0980 

2016年10月作成

●Nikon 1 V3の後継機を待てずにポチってしまった初M4/3
買ったのは2016年4月ですが、記事を書くのが10月と半年も延びてしまいました。

早いもので、型落ちになって祭り価格で購入したNikon 1 V3も、購入からはや3年、商品としては5年前の機種になりました。
その間に、Nikon 1はVシリーズがV2→V3と進化するも、V3も発売から2年以上経過して後継機は発表されず、Nikon 1システムそのものの雲行きが怪しい状況。
やはり趣味のカメラとして、レンズラインアップが少ない、画質が後発の1インチセンサコンパクトカメラより劣るなど、カメラとしての本質的な部分で魅力にかけるのも事実。似たような状況は、同じくミラーレス後発のCanonのEOS Mシリーズにもいえますが、あちらは企業規模がNikonより大きいゆえ、ガンガンCM流して売ってしまおうという感じで、勢いが全然違いますしね。

そんな感じで、この先どうなるかわからないNikon 1の最新機種を待っていられないな、なんて考えていたところ、Amazonのタイムセールで、OLYMPUSのE-P5のボディキャップレンズ付きキットがお安く出ていまして…いろいろ考えて、レンズも多いしミラーレスでは一番遊べそうなシステムであるマイクロフォーサーズ機だし、買ってみることに。

V1を買った時も、PENシリーズは検討していて、価格的にはPLシリーズかなと思っていましたが、当時のPEN E-PLxはエントリー機種故に液晶画面の解像度が低い、操作性もエントリー機らしく、いろいろ設定しようとすると難解なメニューをくぐらなければならない、と言ったネガティブ要素が多く、結局手を出さずじまい。かと言って当時E-P3はまだ高価でした。

E-PLxシリーズは眼中にありませんでしたが、E-Pxは別。それが今回、E-P5というPENシリーズではPEN Fが出て型落ちになったとはいえ、PENシリーズ上位機だけに、操作性や5軸手ブレ補正、Wi-Fiといった機能も充実していて、まあまあ安い(激安ではない)ので、これは良いチャンスと思いまして。Nikon 1は、嫁さんのJ3があるし、この際入れ替えてしまおうと考えたわけです。

こうして、3年ぶりのサブ機更新となりました。

▼PEN E-P5の(やまろ的)見どころ
 ・強力なボディ内5軸手ぶれ補正
 ・メカニカルシャッターで1/8000秒の高速シャッター搭載
 ・操作性の良い前後2コマンドダイヤル
 ・なにげにステレオマイク入力端子付き
 ・Wi-Fi搭載で遠隔操作やスマホからのGPSデータ付与などが可能


詳細は、後半の方で書くとして、Nikon 1やNikon Fマウント機にはない魅力も多々あり、更に今後のシステムアップも楽しそうです。
Nikon 1 V1が入るバッグであれば、もう一回り大きい程度なので、このPEN E-P5もなんとか普段持ちできる範疇かな。

それより、周りからやまろがNikon以外を買う、特にOLYMPUSだなんて意外と言われていますが、実はPENはフィルムの時にちょっとだけ持っていたので、意外じゃないんですよ(笑


▼外観チェック

精悍な顔つきです。Twitterでは某氏にPEN Fよりシンプルで良い、とのコメントを頂きましたが、まさにそのとおりだと思います。
ところで、こうけいきのPEN Fは、E-P5から随分操作系が変わったようです。
同じメーカーなのにこんなに変えていいのだろうか…。
モードダイヤルは常識的は配列。電源スイッチが右側にあるのも、片手で操作できてよいです。
ARTモードがあるのが、OLYMPUSらしい。OLYMPUSのARTモードは昔から評判が良いですからね。
背面のレバーは、2×2ダイヤルコントロールで、ここを切り替えて前後コマンドダイヤルでできる設定を変更可能。
これが目からうろこでとても使いやすいです。コンパクトなボディは得てして操作が悪化しますが、E-P5はうまいことやっています。
液晶ディスプレイは上下にチルト可能。
一方内蔵フラッシュのポップアップボタンは、ちょっと触っただけでフラッシュが飛び出してきてしまい、要改善です。。
ホットシューにはアクセサリポートも搭載し、EVFの取り付けも可能。EVFはコンパクトなボディをスポイルしないか悩ましく、しばらくは購入しない方針。
ところでマイクロフォーサーズ機は、フラッシュもメーカーが違っても互換性があるんですね。
EVFは買わない方針、とか言いながら、屋外の逆光で正確なフレーミングが不可能、ということで中古で購入。
日中晴天下で逆光時に背面液晶が見えず、正確なフレーミングが困難なことから導入。
画質、精細感は文句なしです。表示ラグも気になりませんが、EVFでありがちな、蛍光灯下でカメラをパンすると、EVFの画像がブレたようなぎこちない動きで表示されます。
EVFも随分良くなってきましたが、正確かつ気持ちのよいフレーミングにはOVFが必要と改めて認識。
見ての通りかさばるため、常時装着した状態では収納に困ります。
だったら最初からファインダのあるOM-DシリーズやPEN-Fにすればいいんじゃないかと思います。難しいところですね。
必要なときだけ装着すると言っても、それが手間ですし、かさばりますから。
ファインダは外観が大きいだけあり、倍率も1.48倍と大きく(フルサイズ換算で0.74倍相当!)、236万画素、表示ラグ0.032秒。
ただ、倍率はフルサイズ換算でNikonのフルサイズ一眼レフより大きいはず…ですが、実際にはそこまで大きくは感じない…かな。
ただ、大きいことに変わりはなく、PEN-Fの内蔵EVF(最大1.23倍)より大きいです。
EPSON製のパネルで、とても見やすいです。
画像はスマホで撮影。

私以外に役に立たない(笑)較表です。これまでのNikon 1 V1と比較してみました。流石に2011年のV1より2年新しいだけありますし、少し大きいセンササイズのE-P5が、多くの面で有利です。
ただ、連写性能のみ、Nikon 1は優位ですね。

OLYMPUS PEN E-P5 Nikon 1 V1
イメージセンサ解像度 1605万画素(4/3型Live CMOSセンサ) 1010万画素(1インチCMOSセンサ)
ローパスフィルタ 搭載 搭載
画像処理エンジン TruePic VI EXPEED3
基本感度 ISO200-25600 ISO100-3200
拡張感度 ISO100-25600 ISO100-6400
連写速度 5コマ/秒(AF追従) 5コマ/秒(メカニカルシャッター)
10コマ/秒(電子シャッター)
9コマ/秒(フォーカス固定時) 60コマ/秒(電子シャッター・フォーカス固定時)
測光方式 324分割デジタルESP測光 撮像素子によるマルチパターン測光(分割数不明)
AF方式 コントラスト(ハイスピードイメージャAF) 像面位相差135点/コントラスト
液晶モニタ 3.0型/104万ドット(RGB) 3.0型/92万ドット(RGB)
レリーズラグ 0.044秒(高速レリーズタイムラグモード時)
シャッター耐久 非公開 非公開
電子シャッター(スチル) 非対応 対応
動画 1080/30p 1080/30p or 60i
外部マイク 対応(別売SEMA-1を使用) 対応
内蔵マイク ステレオ ステレオ
質量(本体のみ) 366g 294g


作例はブログからどうぞ。

●オートフォーカス
Nikon 1の像面位相差AFとコントラストのハイブリッドに対し、PEN E-P5はミラーレス機として一般的なコントラスト式です。
初期のミラーレスのコントラスト式に比べて圧倒的に速いものの、やはりミラーレスではAF最速の部類に入るNikon 1と比べると、もう一歩と感じる点があり、またオートエリアモードでは主要被写体に合わずにピン抜けしてしまうこともしばしば。
同じ被写体を撮り続けているのに、急にふっとピントが背景に合ったりするんです。本当に不安定です。
最新機種では改善されているかもしれませんが、E-P5では次第点かなといったところです。
ミラーレスのコントラストAFは、精度が良いと語られていますが、こんなにAFが抜けてしまっては、精度以前の問題です。
動画時のC-AFも基本行ったり来たりの迷いが多いです。ここはちょっと期待外れでした。

●画質
さすがマイクロフォーサーズ一本に絞ったOLYMPUSだけあり、レンズさえ良いものを使えば、充分な画質が得られます。
特に空の青い色は、Nikonでは苦労することが多かったのが、PENはいわゆるオリンパスブルーが得られて、映えた空が撮れます。
ただし、最近のローパスレス機と比較すると、解像感はもう一歩な気もします。
また、基本感度ISO200であっても、暗部にはノイズが乗り解像度が下がります。やはりセンササイズなりかな。

●カラーコントロール
基本はNaturalでごく自然な色調となり、ここはこのカメラの良いところでもあります。
画質の項目でも書いた、オリンパスブルーは撮っていて気持ちがよく、広角や魚眼で空を入れて撮ると、良い色合いになります。
i-Finishという、被写体時の状況に応じてカラーコントロールするモードは、基本的に濃い目の色となり、コントラストも付くのですが、不自然な色になることもあります。

●高感度
対応感度はISO25600まで対応しますが、実質使えるのはISO3200までかな。ここもセンササイズなりです。
ノイズ処理がうまいのか、ノイズ感は感度を上げてもない反面、解像感は急激に失われるので、一長一短。
Nikonと違い、純正ソフトはRAW現像時に高感度のノイズリダクションの調整が殆どできないのが残念。
OLYMPUS Viewer3のRAW現像ははっきり言って必要最低限しか調整できないので、本気であれこれいじるなら、サードパーティ製現像ソフトを推奨します。

●シャッター
メカニカルシャッターにて、1/8000秒まで対応、シンクロ速度も1/250秒対応(内蔵フラッシュは1/320秒まで対応)と、フラッグシップモデル並で、よくぞこのボディに詰め込んだなという印象。
シャッター音も小気味よいですが、少し振動が大きい気もします。
不満を上げるとすれば、電子シャッターに対応していないことでしょうか。

●連写
もとよりこのカメラで連写しようとは思いませんが、AF追従で秒5コマ、AF固定で秒9コマと、まあ健闘しているとはいえます。
ただ、このスペックを持ってして、その辺の一眼レフよりすごいとは思わないほうがよいです。なぜなら、動きモノへのC-AFがあまり実用にならないから。
秒9コマも、AF固定ですからね。

●手振れ補正
このカメラの真骨頂であり、最大の武器でもあります。
5軸手ブレ補正、最大5EVの補正能力があり、レンズとボディのデュアル補正を別にすれば、最もよく補正が効く部類でしょう。
ボディ内蔵手ブレ補正のカメラは本機が初めてですが、広角~標準域ではレンズ内蔵手ブレ補正よりもよく効く印象です。
ピタッと画面が貼り付く感覚は、撮っていて新鮮で、高感度に弱いM4/3機には強い味方です。
オールドレンズでも補正が効くので、撮影の自由度がますます向上しています。
●動画
本機の苦手としている部分でしょう。
画質は、解像感が今一歩で輪郭を強調したような画像で、古いNikon 1 V1のほうがマシと思えるほど。
更にAFもC-AFでもフォーカスが行ったり来たり。
ビデオカメラを買わない代わりに、デジカメをビデオカメラ代わりにしている身としては、かなり残念な部分。
やはり動画はPanasonicが強いです。

●手持ちのレンズ雑感
2017年1月時点で、以下のレンズやアダプタを所持しています。結構増えたのは、マイクロフォーサーズの良いところでもあり、悩ましいところでもあります。
簡単な雑感を。

▼OLYMPUS
・BCL-1580(15mm F8)

E-P5購入時のセット品。ボディキャップなので電子接点はなし。周辺はもちろん解像度は低いですが、わりとまともな描写で、トイレンズっぽい写りを期待すると、裏切られます。
なので、立ち位置としてはやや中途半端です。

・BCL-0980(9mm F8 Fisheye)
こちらは魚眼のボディキャップレンズで、9mmなので180度対角魚眼ではないものの、魚眼感はよく出ます。
フォーカス切り替えレバーが軽く、気がついたら勝手に動いてピンぼけしやすいのが難点です。これは持っておいて損はないでしょう。

・M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8

現在のメインレンズで、ほぼこのレンズがE-P5に着きっぱなしです。
明るいレンズで、ボケ味も素直、絞れば解像度も十分あり、金属外装と相まってコンパクトで質感も良いレンズです。
フードが別売り、金属キャップが別売り(プラキャップは付属)と、アクセサリで儲けようとしている魂胆が見え隠れするのが何とも…。
欠点は、他のズームレンズにも劣る逆光耐性の低さで、盛大にフレアやゴーストが発生します。安物ズームだってここまで発生しないというくらい。

・M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ
とりあえず買ったズーム。パンケーキタイプで携帯性は抜群。ただし電動ズームはかったるいので、実質動画用。
画質は、コンパクトさを考えると可も不可もなく。贅沢なEDレンズや非球面レンズを使って、実質1万円ちょっとで買えるのがすごい。

▼Panasonic
・LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S. H-FS14140
交換レンズでは初めて買った高倍率ズーム。航空祭でD810にSIGMA 150-600mm Sportsが着きっぱなしのため、標準~中望遠域が欲しくて購入。
高倍率でなくても良かったけど、動画撮影を考えるとあっても良いかなと。
レンズ側にも手ブレ補正付きですが、E-P5ではレンズ側かボディ側か、どちらか一方のみとなるので、基本的にはボディ側の手ブレ補正を使用。
レンズ側は望遠になるほど有利か? 画質は、こちらも可もなく不可もなく。高倍率であることを考えると健闘しているかな。
やや大きめだけど便利です。

▼SAMYANG
・7.5mm F3.5 FISH-EYE

BLC-0980を購入して魚眼の面白さを知った結果、やはりもう少しちゃんとしたレンズが欲しい、でも純正の魚眼は高い…と思いたどり着いたのがこちら。
外装質感は塗装がお値段なりに安っぽいし、もちろんMFレンズでCPU接点もありませんが、写りはまともなのはさすがSAMYANG。
TokinaでおなじみのケンコーがSAMYANGを扱い初め、お安くなっていたので購入。
画質もよく、魚眼なのでフォーカスも目測で概ねOK。真面目に魚眼で撮るならOLYMPUSのPROシリーズですが、気軽に撮るならこのレンズで十分。

▼K&F Concept
・Nikon(G)-M4/3
マウントアダプタで、Nikon Fマウントレンズを、M4/3ボディに取付可能。絞りリングのないGタイプレンズで絞り調整するための絞りリングも備えています。
中華製にありがちな精度の問題については、K&F ConceptはAmazonでも定評があり、まず問題ないかなということで購入。
実際、最初はやや渋めな装着感でしたが、何度か付け外ししていくうちに、当たりが付いてきたかと思います。
もちろん、電子接点がなく全てマニュアルとなるので、実用性というよりはお遊びです。


●良いポイント
これまで挙げてきたのをまとめると…
・2ダイヤル+レバーによる操作性の良さ
・ブルーがよく映える画質
・コンパクトなボディなのにに1/8000秒シャッターや、シンクロ1/250秒に対応
・よく効く5軸手ブレ補正
●残念なポイント
これまで挙げてきたのをまとめると…
・AFが突如抜ける、精度以前の問題
・C-AFはあまり使い物にならない
・RAW現像ソフトがしょぼい
・高感度耐性はセンササイズなり
・動画画質が悪い

●総評
今回、PEN-Fの登場で型落ちとなり、安くなっていたPEN E-P5を導入し、半年以上経過したわけですが、マイクロフォーサーズの懐の深さと、反面まだまだNikonやCanonの一眼レフに届かない部分もあるなと痛感。
もちろん、APS-Cの一眼レフよりコンパクトなボディは魅力ですし、Nikon 1のような操作性の悪さもなく、レンズラインナップも、社外も含め充実しています。
普段持ちのサブ機としては、非常に良く出来ていると思います。
特に、スナップ撮影で、強力な5軸手ブレ補正は、手ブレという最大の失敗を確実に救ってくれます。
反面、AFはまだまだ、画質ももう一歩と言う課題もあるものの、それを補って余りある素性の良さがあります。
ただ、動画のダメさは予想以上で、OLYMPUSの弱い部分でもあります。
子供の成長記録として動画も撮りたい以上、この動画の弱さがこのカメラで一番引っかかる部分です。
スチルカメラとしても、AFが突如抜けてしまう悪癖以外は、概ね満足できます。

現在、メーカー在庫払底でほぼ中古でしか入手できませんが、スチル中心に考えるのであれば、よい候補の1つでしょう。PEN-Fのスイッチダイヤル類がごちゃごちゃして嫌、という人にも勧めたい1台です




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