AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR


AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR


2014年1月作成

●特徴

Nikonのf4通しのズームレンズ、大三元ならぬ中三元の広角レンズとして発売されたのが、本レンズです。
しかも驚きのVR搭載。これまで標準〜望遠ではVR搭載レンズも増えつつありましたが、まさかの広角でのVR搭載です。
一般に、手ブレしないシャッタースピードの目安として、1/焦点距離(秒)なんてのは昔から言われてきていますが、望遠と比較して手ブレのリスクが低い広角レンズに、敢えてVR搭載したわけで、このVRに価値を見出すかが、このレンズの選択の分かれ目でしょう。

この記事執筆現在、NikonにはFX用で3種類の広角ズームレンズが存在します。
トップは、広角銘レンズの名を欲しいままにする、AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED、2つ目が当レンズ、3つ目がAF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED。

他メーカーユーザーすら憧れる14-24mmは、画質は文句なしですが、何より高価、大きく重い、フィルタが使えない、画角が広角に寄り過ぎという欠点も抱えています。
超広角までは不要であることを考えると、今回の選択からは外しました。

一方、18-35mmは、最新の設計、安価でありながら、解像感は16-35mmに負けない、若しくは上回るとの評判、サイズもコンパクトで、このレンズとの比較でずいぶん悩みました。

この辺りは、以前にブログに書いていますので、合わせてご覧いただければ。
・D800広角レンズ考
す。

Nikonの3つの広角の中で、絶対的な解像度と画質を求めるのであれば14-24mm、手持ちスナップや動画撮影も考慮にいれるなら、16-35mm VR、軽量コンパクトでコストパフォーマンス重視なら18-35mmと言ったところでしょう。


 発売年   2010年2月26日 
 レンズ構成  12群17枚 (EDレンズ2枚 非球面レンズ3枚)
 焦点距離  16-35mm
 最小絞り  f22 
 絞りバネ枚数  9枚(円形絞り) 
 最短撮影距離  0.28m(焦点距離20-28mm時) 
 0.29m(焦点距離16,35mm時) 
 絞りリング  なし 
 最大撮影倍率  1/4倍
 フィルターサイズ  77mm 
 AF動作方式  超音波モーター 
 手ブレ補正機構  あり(2.5段分/CIPA規格準拠)
 質量  680g
 全長  125mm
 フード  HB-23(花形)
 三脚座  なし




●使用感

広角レンズにしては全長が長いですが、重量は見た目ほどではなく、大きさの割に重くはない、という印象。
D800のと重量バランスは良好で、手持ちスナップにもちょうどよいバランスです。ただ、全長が長く大きく見えるレンズゆえ、街角スナップでは、いかにもでかい一眼レフで撮ってます!的な絵面になるので、さり気なく撮るにはちょっと不向きかもしれません。

本体の切り替えスイッチは、M/AとMの切り替えとVRのON/OFF。さすがに望遠系にあるような、VRのNOMAL/ACTIVE切り替えはありません。
ズームリング、フォーカスリングとも適度な重みがあり、ほぼ遊びなくフルタイムマニュアルフォーカスでMF操作可能です。
広角レンズなので、AFの速さはそれほど重視はされないでしょうが、さすがにAF-Sだけあり、必要十分といったところでしょう。

広角レンズでで懐疑的だったVRですが、いざ使ってみると、D800のような高解像度機でかなりシャキッとした絵が得られることに気づきました。
細かな手ブレなどが抑えられるという意味では、歩留まりの高さは、このVR搭載の恩恵は大いにあります。
また、感度をあまり上げずに、手持ちでのナイトスナップでは特に威力を発揮します。これは他の広角レンズには真似できない部分です。

このレンズも、最近の中級クラス以上のNikonレンズでは当たり前になりつつある防塵防滴レンズなので、安心感もあります。

VRの必要性がこのレンズのポイントですが、D800であれば、VRの恩恵は十分あると言っていいでしょう。
巷で評価が別れるレンズであり、コストパフォーマンスの面ではもう一歩の部分があるものの、いわゆるベンチマークテストと実写ではまた違った評価になることも多く、その点ではこのレンズは、実写では最高とは言わないまでも、十分な性能を有していると言えます。


広角レンズの割に、標準レンズのような長さ。
その分、太さをあまり感じさせません。
男性なら手に収まりやすい太さでしょう。



●描写・作例

実際に使用してみて実感したのは、まずヌケの良さ。特に逆光時のヌケの良さは、ナノクリスタルコート搭載レンズならではでしょう。
一部レビューで、周辺の解像感不足があり、かなり絞らないと改善しないという内容のものがありました。
実際、絞り開放では、周辺の解像度はもう一歩です。ただ、周辺まで解像度を求めるような撮影で、果たして絞り開放で撮るでしょうか? と考えると、実用上それほど大きな問題では無いと思います。中心部の解像度は開放でも良好。
ただし、星空撮影など、絞りをあり程度開けつつ周囲の解像度も欲しい、というなら、奮発して14-24mmを買ったほうが幸せになれるでしょう。

周辺解像感など、価格からすると少し物足りない部分があるのも事実ですが、中心部の解像度は十分高く、VRにより相当遅いシャッタースピードでもしっかり解像して撮影できるといった恩恵もあり、スナップに向いたレンズではないでしょうか。


絞り開放の作例。
周辺の解像度がもう一歩の当レンズですが、このような絵であれば周辺解像度は無視できますし、
星空を撮るのでなければ、そう大きな問題ではないかな、と個人的に思います。
ボケ味は、特筆するほどではありませんが、広角ズームにしてはうるさくもないです。

データ:Nikon D800 + AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR
Aモード(f4 1/50)+0.7 29mm RAW現像
  このレンズの真骨頂でもある、夜の手持ち撮影。
広角端16mmで1/5秒。条件さえ良ければ、もう少し遅いシャッタースピードでも手持ち撮影可能。

データ:Nikon D800 + AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR
Aモード(f7.1 1/5) 16mm ISO1600 RAW現像
  仮住まいなマンションからの撮影。
周辺解像度がウイークポイントと言われる本レンズですが、
広角端を絞り開放で撮影してみたのですが、周辺も結構解像しているように思います。
Web掲載サイズではわかりませんが、画像左下の電柱の文字も、等倍なら読めるのです。
使用者によって評価が別れる当レンズ、個体差が大きいということでしょうか?
加えてVRの効き具合もわかりますね。

データ:Nikon D800 + AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR
Aモード(f4 1/5) 16mm ISO3200 RAW現像




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