FUJIFILM FinePix F200EXR

Fujifilm F200EXR + FUJINON 6.4-32mm f3.3-5.1 FinePix F200EXR導入!


2009年7月作成

●数年ぶりのコンデジは押すだけ簡単!

COOLPIX5400の購入から早数年。この間デジタルカメラは大幅な進化を遂げました。COOLPIX5400購入当時は、まだ一眼レフではD100が20万円オーバーの値段で、D70が十万円台で出て安いな、なんて思ってた時代です。
当然そのときはマニュアル撮影も可能なカメラが必要でした。
でも、既に一眼レフはD300を手に入れ、コンデジに求めるものは気軽に撮影できるものに。
そうなると、COOLPIX2500からさほど進化していないCOOLPIX5400のAFは非常に遅く、少し暗いとまったく合わないのが難点。
顔認識AFなど、コンデジの世界ではAF性能の向上が著しく、手振れ補正、高感度性能向上など魅力が増えました。一方で高画素化の弊害も見られ、イマイチこれぞという機種にめぐり合えませんでした。
ニコンユーザーということで、広角28mm対応のCOOLPIX P6000が出たときは、これだ!と思ってかなり検討したのですが。どうも画質が気に入らなくて。高画素化の弊害ってヤツです。解像感がないのです。使い勝手は最高によかったのですが…。

そうこうしているうちに発表されたFUJIFILMのF200EXR。元々ハニカムCCDで高感度性能、Dレンジの広さに定評あるフジは、何度か候補に挙がったことはあるものの、今回の機種は28mmからの広角ズームを搭載、CCDの改良による更なる高感度耐性とDレンジの広さ、魅力満載です。一応Mモードもそなえているし、何より発売後すぐ大幅に値下げされ、2万円台という魅力的な価格。

ちょうど海外出張が入ったため、それにあわせて購入となりました。
基本シャッター押すだけのカメラは、COOLPIX2500以来久々です。


●簡単きれいなEXRモード

FinePix F200EXR最大のウリは、型式にもあるEXRモードでしょう。詳しい説明は本家のサイトに任せるとして、このカメラのハニカムCCDの特殊な配列によって、低感度と高感度の撮影を同時に行うことによるダイナミックレンジの広さは、コンデジの域を超え、一眼レフ並みの余裕があります。下手したら古いデジタル一眼レフより上かも。
高解像度(HR)、高感度(NR)、高ダイナミックレンジ(DR)の3つのモードとシーンを自動選択するEXR AUTOも非常に優秀で、普段はEXR AUTOに任せきりできれいに撮ることができます。初心者にも非常に優しい設計と言えます。
ただし、EXR AUTOはAFがコンティニュアンス(連続)となり、かなりバッテリの消耗が早くなるのが難点。予備バッテリは必須です。
このカメラ1台でさまざまな撮影に対処できるため、一眼レフで撮りたいけど荷物は減らしたい、そんなニーズにも答えるでしょう。

以下、作例など。カラーマネジメントに対応したブラウザで見ることをお奨めします。

COOLPIX5400との比較。大人と子供ぐらいに違います。
F200EXRは今時のコンデジとしては普通のサイズですが、古いCOOLPIXと比較すると小さすぎ。
あまりの小ささに、少々の不安を覚えます。
EXR AUTO(HR)モードにて。圧縮率のみ変更した画像で開きます。(4000x3000)
ホワイトバランスはオートですが、巷で言われるようにやや青っぽいのがわかります。
反面、空の青さが引き立ちますけどね。
高画素化に伴いレンズの解像度が追いついていない機種が多い中、本機は比較的優秀です。
EXR DRモード(800%)にて撮影。圧縮率のみ変更した画像で開きます。(2816x2112)
このモードでは半分の600万画素に制限されますが、コンデジならこの画素数で十分です。
ヘリの太陽光が反射したウインドウに注目。
多くのデジタルカメラは、この部分が飽和してただの白になってしまいます。
また反射光に引っ張られて、露出も全体的に低く出てしまうでしょう。
本機はギリギリまで飽和していないのがわかります。
諧調豊かで、見た目通りに撮れています。
一般的なデジカメでは、このような状況ではヘリの機体下部は黒潰れしてしまいます。
EXR NRモードにて撮影。圧縮率のみ変更した画像で開きます。(2816x2112)
ISO1600、ノイズは増えるけど、他のコンデジと比較しても優秀な高感度耐性。
ちょっと古い一眼レフよりも優秀です。
私はISO1600までは許容と思いますが、人によってはISO800辺りが限界と感じるかもしれません。
第二次大戦の潜水艦の内部は薄暗く、その中でこれだけ撮れれば上出来です。
望遠端32mm(135判換算140mm)にて撮影。
容量節約のため画素数を落としています。
プレビュー画像でもわかるくらい、四隅が暗くなっているのがわかります。
残念ながら本機は絞りは調整できず(NDフィルタのみ)、この四隅の光量低下は防げません。
望遠側を欲張った設計が災いしたのか?
そして、ホワイトバランスは相変わらず青いです。


●総括

2万円台で買えるデジカメで、ここまで撮れることに驚いています。
とくに本機のウリのEXRモードは、自動選択モードもあり秀逸。ダイナミックレンジが広く、まるでネガフィルムのように撮れてしまうのは、「写るんです」に共通した手軽さをデジカメにも、もたらしているようです。
ただ、せっかく高画質ながら、フルオートで撮ることを前提としたインターフェイスで、マニュアルモードもあるものの、操作性はイマイチで重視はしていないようです。
このEXRを、ぜひ上位コンデジにも搭載してほしいですね。

オートフォーカス

★★★★☆
顔認識の素早さ、認識の正確さは秀逸。一般的なAF撮影もストレスを感じさせない。
反面、AFが合焦したときとそうでないときの表示がわかりづらい。
AFが合っていなくてもシャッターが切れてしまうため、後で確認したときに発覚することも。
AFエリアのマニュアル設定項目がないのは使いづらい。
時々、強烈にピントが合っていないのに合焦OKサインが出る。
無限遠固定が設定できないのは謎。また、フジの伝統でマクロ撮影に弱いのが残念。
露出

★★★★☆
露出の評価は難しい。というのも、ダイナミックレンジが広いため、破綻しにくいから。
まるでネガフィルムのよう。
ほとんどの用途では補正なしのオートで問題ない。
反面、意図的に露出補正しても、狙ったとおりにならないことも多い。
関連機能として、撮影後もヒストグラムが見れないのはマイナスポイント。
液晶画面はガンマ値がおかしく、露出の確認はあてにならない。
バッテリ

★★☆☆☆
枚数にして約200枚程度でバッテリ切れ。多めに撮る人は予備バッテリは必須。
旅行などで多めに撮る人は、予備バッテリを2つ以上持つことをお奨めする。
EXR AUTOだとコンティニュアンスAFになるため、バッテリ消費が多い。
ただ、あの携帯電話より小さいバッテリサイズだと仕方ないかな。
ホワイトバランス

★★☆☆☆
安定して青い(笑 空を撮るのはもちろん得意。
晴天下、マニュアルで太陽光にしても青すぎ。
ただし、完全室内ではホワイトバランスは良好。
※ファームウェアVer1.20以降で、オートホワイトバランスの青みが解消されています。
 それでもまだ青いですね。
レンズ

★★★☆☆
広角端は樽歪が多め。歪み補正がないのは残念。
またごくわずかに倍率色収差が発生している。
望遠端は解像度はさほど落ちないものの、画面の四隅が暗くなる。
これは空などを写すとはっきりとわかるレベル。
実絞り機構がないため、絞って解消という方法も使えない。
しかしセンサの解像度にレンズがついていっていないということはなく、良好。
携帯性

★★★★★
重量級ユーザーの意見なのであてにならないけど(笑
こんなに小さくてよく撮れるなんて、驚き。
ただ、これ以上小さいのは逆に撮りづらいので、コンデジとしてはベストバランスか。
フラッシュ

★★★★☆
コンデジにありがちな、いかにもストロボ使いました!的な写りにはならない。
制御は割りと上手で、特に難しく考えずとも背景のバランスも考慮した撮影が可能。
この辺りは高感度特性のよさをよく生かしている。
画質総合

★★★★☆
ダイナミックレンジの広さ、高感度特性のよさなどを生かしつつ、高画素化を図っている。
これを自動的に切り替えるEXR AUTOは秀逸。
ホワイトバランスの青っぽさが気になるものの、フルオートでも破綻することのない安定性。
まるでネガフィルムのようなラチチュードの広さは非常に扱い安い。
この値段でこれだけ撮れれば文句ないです。


というわけで、小粒ながらものすごい実力の持ち主のこのカメラ。欠点は今まで所有したどのカメラよりも、撮影感が希薄な点です。撮った、という実感がないんですね。
いいカメラなのに…。結構物持ちがよいほうですが、このカメラについては、あまり長くは使わないような気がします。さて何年使うことやら。



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